So-net無料ブログ作成

鶴亀算と一次方程式

 1個150円のリンゴと1個50円のミカンを合わせて10個買いました。全部で1100円でした。リンゴとミカンをそれぞれいくつずつ買ったのでしょうか。

 小学校の算数では、これを次のようにして解く。

リンゴ

……

ミカン

……

合計の値段

600

700

800

……

1200

1300

1400

 合計の値段はリンゴが1個増えるごとに100円増える。支払ったのは1100円だから、リンゴは6個、ミカンは4個のはず。

 一方、これと同様の問題が中学1年の数学にも、1元1次方程式の応用問題として出てくる。連立方程式の解き方はまだ習っていないため、次のように

リンゴの数を x とする。ミカンの数は 10 - x となるから、等式

150x + 50(10 - x) = 1100

が成立する。これを解いて、

100x + 500 = 1100

100x = 600

x = 6

答え リンゴ 6 個、ミカン 4 個

解くことを想定している訳である。

 算数と数学のこの解き方の根本的な違いは、算数が問題の特性を利用してその問題固有の解き方をするのに対して、数学では問題をモデル化し、その数学的モデルを一般的な数学的方法により解き、元の問題の解を導くという点にある。数学を指導する際は、この点を念頭に置くべきである。もちろん、モデル化などという言葉を使う必要はない。ただ、問題を素直に式に表すものとして、指導するのである。モデル化は、抽象化あるいは定式化などとも呼ばれるが、抽象的、あるいは構造的な見方・理解の根本にある考え方である。それがわからなければ中学以降で学ぶ事柄は理解できないといってもいい根本的な考え方である。

 この点から見て、鶴亀算を1元1次方程式として上のように解くよう指導するのは、少々問題がある。上の問題は本質的には未知数が2個の問題だからである。したがって、本来は、

リンゴの数を x とし、ミカンの数を y とする。このとき、次の2つの等式

x + y = 10

150x + 50y = 1100

が成立する。第1の式から

y = 10 - x

これを第2の式に代入して

150x + 50(10 - x) = 1100

100x + 500 = 1100

100x = 600

x = 6

y = 10 - x = 10 - 6 = 4

答え リンゴ 6 個、ミカン 4 個

と解くべきなのである。

 これを1元1次方程式として解く方法は、モデル化の際に y = 10 - x を代入していることに相当するが、こういう解を示すことで、今まさに学ぼうとしているモデル化の概念を混乱させることになる。すなわち、モデル化と数学的解法が混在するため、モデル化の段階を認識することが難しくなるのである。

 中学1年生は、算数的発想から抜けきらないまま、数学的発想を示されて、ただでさえ混乱しているところである。そこに、鶴亀算を1元1次方程式として解く方法を指導されては、モデル化の概念を理解するのは困難だろう。そうして、数学が嫌いになる生徒がいるに違いない。実際、どこまでをあらかじめ計算して式を立てればいいのかわからない生徒がいる。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。